2023.02.28
おしっこは増えると病気のことが多いんです!
PUPD(多尿多飲)はだいたい病気が隠れています・・・。
お水をよく飲むのはいいこと?悪いこと??獣医師の立場で聞かれると、どうしても、悪いことばかりが浮かびます。それはなぜでしょう?ずばり、病気になるとおしっこが増え、お水をよく飲みたくなるからなんです。でも人の立場から見ると、なんとなく、お水って飲んでる方が安心ですね。おしっこもでてたらうれしいですね。そのちょっとした感覚のずれを一度修正していただきたく、今回は多飲多尿になる病気のお話をさせてくださいね。
注:尿結石の治療や療法食を食べてる方は少し当てはまらないことがあります。注意してお読みください。
目次
1.なぜ 水を飲むのか?
聞いたことのある言葉として、多飲多尿という言葉がありますよね。いっぱい飲み物を飲んでいっぱいおしっこがでる、という状況です。人間はいろんな種類の飲み物があるので、リラックスするために飲んだり、おやつがわりに甘いものを飲んだり、、、飲むという動作があるから出すということがありますが、動物は基本お水しか与えませんので、体が必要としなければ飲むということがあまりありません。言い換えると、おしっこが出てしまったから、その水分を補うために飲むのが正常な体の応答です。もちろん、よく運動したり、興奮したりすると、よくお水を飲むことはあります。ただし、おしっこは増えないのが普通です。なので動物の場合は多尿多飲と表現する方がわかりやすいですね。
2.なぜ おしっこが増えるのか?
急におしっこが増えたり、お水の減りが早くなったときは要注意です。なぜおしっこが増えるのか??それは、腎臓の機能などに問題がでてくるからなんです・・・。詳しい生理機能を説明すると教科書のようになってしまうので、本当に簡単に書かせていただくと、哺乳類は基本的に口から取り入れた水分を腸管で吸収し、血管中に運ばれ、腎臓へ到達します。腎臓には水分を再吸収するという大事な機能があります。その再吸収に関わる腎臓の管(くだ)に問題が起きたり、再吸収に関わる脳の下垂体というところからでるホルモンに異常が出ると、再吸収がうまくできなくなり、おしっこが増えてしまいます。おしっこが増えるということは体が脱水してしまうので、お水が欲しくなるということです。
3.具体的にはどんな病気?
多尿多飲になったときに、考えなくてはいけない鑑別診断として、以下の病気が挙げられます。
・子宮蓄膿症、腎盂腎炎などの膿がたまる病気
・腎不全
・肝不全
・糖尿病
・高カルシウム血症
・低カリウム血症
・副腎皮質機能亢進症
・副腎皮質機能低下症
・甲状腺機能亢進症
・心因性
・尿崩症
予想以上にたくさんの病気がありますよね。
おしっこは腎臓で作られるというイメージはお持ちだと思うので、なんとなく腎臓が悪いとおしっこに変化がありそうだと思いますが、実はそれ以外にもたくさんの病気でおしっこが増えることが知られています。猫ちゃんは腎臓を患いやすい動物です。猫の腎不全はあまりに有名な病気になってしまいましたね。ワンちゃんでは、副腎皮質機能亢進症という通称クッシング症候群という病気が多いイメージもあります。うちの子に限って・・・と思いたくなりますが、冷静に現状を把握していきましょう。
4.24時間飲水量の目安
では、水ってどれくらい飲めば正常?どのくらいからが異常??なのか、ですが、個人差はとてもあるので、本当に参考までに数字で表すとすると、24時間飲水量が、体重1kgあたり30mlまでなら多くないと思います。24時間飲水量が体重1kgあたり50mlを超えると要注意です。しかし、飲水量をきっちり計るのはとても難しいです。そこで登場するのが尿検査です!
5.尿検査って意外とすごいんです!
尿検査は痛くもかゆくもない検査です。ただ、液体としてとっていただかないといけないので、猫ちゃんではすこし難しいことがあります。(尿検査のコラムもあります!よんでねん。)
できるだけ朝一の尿を新鮮なうちに検査できれば、ほんの少しの尿でもその子の体で作られる尿の性質から、その尿がそのこにとって多いのか少ないのかを判断することができるのです!なので、うちの子の尿量は正しいのか?と疑問になったらおしっこを持参してもってきてくださいね。尿検査のコラムはこちら→→https://cosmos-ac.com/news/p227/
まとめです
おしっこは出てればいいってもんじゃーない!ということがわかっていただけたら、今後の病気の早期発見につながると思います。動物のおしっこが増え、飲水量が増える病気はたくさんあります。うんち、おしっこは健康のバロメーターですね。でも、でてればいいってものではないので、その意識を少しもっていただければと思います。かといって、おしっこだけですべての病気がわかるわけでもないので、顔色、毛並み、動き、食欲、すべてをしっかりみてあげてくださいね。
おしっこでなさすぎるのもだめですよ!気になることはこすもす動物診療所へお気軽に聞いてくださいね!