愛猫が「尿石症」や「特発性膀胱炎」などの下部尿路疾患と診断されて、「ロイヤルカナンユリナリーS/O」を療法食として与えるように獣医師から言われた飼い主さんも多いのではないでしょうか?
ただ、この「ロイヤルカナンユリナリーS/O」には様々な種類があるため、愛猫にはどれが一番良いのか迷われる方もいると思います。
よって今回は「ロイヤルカナンユリナリーS/O」シリーズのそれぞれの特徴と選び方のポイントを、獣医師監修のもとで解説していきます。
監修獣医師 小川篤史先生 こすもす動物診療所院長(宮崎大学農学部獣医学科卒業・明石市獣医師会所属) 最初は別の道を選択するも、獣医になる夢を捨てきれず獣医学科を受験。兵庫県加古川市の動物病院に勤務後、兵庫県明石市に「こすもす動物診療所」を開院。犬や猫、小動物を中心に診療・予防医療を行う。 |
ロイヤルカナンユリナリーS/O 猫用の種類と違い
「ロイヤルカナンユリナリーS/O」シリーズは全部で6種類存在し、どれも「下部尿路疾患の猫に与えることを目的として特別に調製された療法食」という点には変わりありませんが、それ以外の成分やコンセプトには違いがあります。
てまずは各フードの特徴などを1つ1つ、ご説明していきますね。
①ユリナリーS/O
公式サイト:ロイヤルカナンユリナリーS/O ドライ
商品名 | ロイヤルカナン ユリナリーS/O |
生産国 | オーストリア |
原材料 | 米、超高消化性小麦タンパク(消化率90%以上)、肉類(鶏、七面鳥、ダック)、コーンフラワー、動物性油脂、加水分解タンパク(鶏、七面鳥)、植物性繊維、コーングルテン、魚油、大豆油、フラクトオリゴ糖、マリーゴールドエキス(ルテイン源)、小麦粉、アミノ酸類(DL-メチオニン、L-リジン、タウリン)、ミネラル類(Cl、Na、K、Ca、P、Zn、Mn、Fe、Cu、Se、I)、ビタミン類(コリン、E、A、ナイアシン、ビオチン、葉酸、B2、パントテン酸カルシウム、B6、B1、D3、B12)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリーエキス) |
カロリー | 387 kcal/100g |
ポイント:ユリナリーS/Oは、下部尿路疾患の中でもストルバイトやシュウ酸カルシウムによる尿石症に配慮した療法食です。
特にストルバイト結石(リン酸アンモニウムマグネシウム)の構成成分であるマグネシウム含有量を制限(20mg/100kcal)していることから、ストルバイトに悩む猫ちゃんに安心して与えることができるフードといえるでしょう。
②ユリナリーS/O ライト
公式サイト:ロイヤルカナンユリナリーS/O ライト
商品名 | ロイヤルカナン ユリナリーS/O ライト |
生産国 | 韓国 |
原材料 | 米、肉類(鶏、七面鳥、ダック)、超高消化性小麦タンパク(消化率90%以上)、植物性繊維、コーンフラワー、動物性油脂、コーングルテン、加水分解タンパク(鶏、七面鳥)、魚油、大豆油、フラクトオリゴ糖、マリーゴールドエキス(ルテイン源)、小麦粉、アミノ酸類(DL-メチオニン、タウリン、L-カルニチン)、ミネラル類(Cl、Na、K、Ca、P、Zn、Mn、Fe、Cu、Se、I)、ビタミン類(コリン、E、A、ナイアシン、ビオチン、葉酸、B2、パントテン酸カルシウム、B6、B1、D3、B12)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリーエキス) |
カロリー | 352 kcal/100g |
ポイント:人間と同様に肥満は万病の元となりますが、特に去勢した男の子の猫ちゃんにおいては下部尿路疾患の危険性が高まることが多いと考えられています。
ユリナリーS/O「ライト」は、ユリナリーS/Oと同様にストルバイトやシュウ酸カルシウムによる尿石症に配慮していますが、加えてカロリー密度がユリナリーS/Oと比較して約10%減と低く調整されている点が特徴的です。
③ユリナリーS/O オルファクトリー
公式サイト:ユリナリーS/O オルファクトリー
商品名 | ロイヤルカナン ユリナリーS/O オルファクトリー |
生産国 | 韓国 |
原材料 | 米、肉類(鶏、七面鳥、ダック)、コーンフラワー、動物性油脂、超高消化性小麦タンパク(消化率90%以上)、魚肉、加水分解タンパク(鶏、七面鳥)、植物性繊維、コーングルテン、酵母および酵母エキス、魚油、大豆油、フラクトオリゴ糖、マリーゴールドエキス(ルテイン源)、小麦粉、アミノ酸類(DL-メチオニン、タウリン)、ミネラル類(Cl、Na、K、Ca、Zn、P、Mn、Fe、Cu、Se、I)、ビタミン類(コリン、E、A、ナイアシン、葉酸、ビオチン、B2、パントテン酸カルシウム、B1、B6、D3、B12)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリーエキス) |
カロリー | 386 kcal/100g |
ポイント:「ストルバイトやシュウ酸カルシウムによる尿石症に配慮していること」や「ストルバイト結石(リン酸アンモニウムマグネシウム)の構成成分であるマグネシウム含有量を制限(20mg/100kcal)していること」は、ユリナリーS/Oと同様ですが、原材料の中に魚肉が追加されていることがポイントとなります。
基本的に猫はフードの味よりは香りで食いつきが変わることが多いため、このユリナリーS/O オルファクトリーは魚肉を加えることなどによって猫ちゃんの食欲をそそる独自の香り組成に調整されています。
④ユリナリーS/O オルファクトリーライト
公式サイト:ユリナリーS/O オルファクトリー ライト
商品名 | ロイヤルカナン ユリナリーS/O オルファクトリー ライト |
生産国 | 韓国 |
原材料 | 魚肉、米、コーンフラワー、植物性繊維、超高消化性小麦タンパク(消化率90%以上)、動物性油脂、コーングルテン、加水分解タンパク(鶏、七面鳥)、大豆油、フラクトオリゴ糖、マリーゴールドエキス(ルテイン源)、アミノ酸類(DL-メチオニン、タウリン、L-カルニチン)、ミネラル類(Cl、K、Na、Ca、P、Zn、Mn、Fe、Cu、I)、ビタミン類(コリン、E、ナイアシン、B12、パントテン酸カルシウム、ビオチン、B6、A、B2、B1、D3、葉酸、K3)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリーエキス) |
カロリー | 346 kcal/100g |
ポイント:「ロイヤルカナンユリナリーS/O」シリーズの中で、最もカロリーが低く調整されているのがこのユリナリーS/Oオルファクトリーライトです。
ユリナリーS/Oライトと同様にストルバイトやシュウ酸カルシウムによる尿石症に配慮しつつカロリー密度を低くしていることに加えて、ユリナリーS/O オルファクトリーと同じく魚肉を加えることなどによって猫ちゃんの食欲をそそる独自の香り組成に調整されています。
⑤ユリナリーS/O+CLT
公式サイト:ユリナリーS/O+CLT
商品名 | ロイヤルカナン ユリナリーS/O+CLT |
生産国 | フランス |
原材料 | 肉類(鶏、七面鳥)、米、超高消化性小麦タンパク(消化率90%以上)、コーン、小麦、植物性繊維、加水分解タンパク(鶏、七面鳥、豚)、コーングルテン、チコリー、動物性油脂、魚油、サイリウム、大豆油、フラクトオリゴ糖、加水分解ミルクタンパク(加水分解アルファS1トリプシンカゼイン)、マリーゴールドエキス(ルテイン源)、アミノ酸類(DL-メチオニン、タウリン、L-トリプトファン、L-カルニチン)、ミネラル類(Cl、Na、Ca、K、P、Zn、Mn、Fe、Cu、I、Se)、ビタミン類(コリン、E、ナイアシン、パントテン酸カルシウム、B6、B2、B1、葉酸、A、ビオチン、B12、D3)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリーエキス) |
カロリー | 356 kcal/100g |
ポイント:ストルバイトやシュウ酸カルシウムによる尿石症に加えて猫の特発性膀胱炎にも配慮した療法食です。
猫の特発性膀胱炎の最も多い原因はストレス過多と考えられていますが、このユリナリーS/O+CLTは加水分解ミルクタンパク(加水分解アルファS1トリプシンカゼイン)とL-トリプトファンを配合することによって猫ちゃんの不安感やストレスに関連した行動を減少させることが期待できます。
⑥ユリナリーS/O エイジング7+CLT
公式サイト:ユリナリーS/O エイジング7+ + CLT
商品名 | ユリナリーS/O エイジング7+CLT |
生産国 | フランス |
原材料 | コーン、超高消化性小麦タンパク(消化率90%以上)、小麦、肉類(鶏、七面鳥)、コーングルテン、加水分解タンパク(鶏、七面鳥)、米、動物性油脂、コーンフラワー、チコリー、酵母および酵母エキス、卵パウダー、魚油、トマト(リコピン源)、サイリウム、大豆油、フラクトオリゴ糖、加水分解ミルクタンパク(加水分解アルファS1トリプシンカゼイン)、加水分解甲殻類(グルコサミン源)、マリーゴールドエキス(ルテイン源)、菜種レシチン、加水分解軟骨(コンドロイチン硫酸源)、アミノ酸類(DL-メチオニン、タウリン、L-リジン、L-トリプトファン、L-カルニチン)、セルロース、β-カロテン、ミネラル類(K、Cl、Ca、Zn、Mn、Fe、Cu、I、Se)、ビタミン類(A、コリン、D3、E、ナイアシン、パントテン酸カルシウム、B2、B6、B1、葉酸、ビオチン、B12)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリーエキス) |
カロリー | 372 kcal/100g |
ポイント:独自の栄養素と抗活性酸素物質を配合することによって認知機能や腎臓の健康をサポートが期待される、「ロイヤルカナンユリナリーS/O」シリーズの中で唯一シニアの猫ちゃんに配慮された療法食です。
製品名に「エイジング7」とあるように7歳以上の猫ちゃんに与えることがおすすめです。
なお、ストルバイトやシュウ酸カルシウムによる尿石症に加えて猫の特発性膀胱炎にも、もちろん配慮されています。
ロイヤルカナンユリナリーS/Oの違いを理解したら、愛猫の年齢や好みに合わせて選んで。
このようにそれぞれ製品ごとに特徴・違いがある「ロイヤルカナンユリナリーS/O」シリーズですが、迷ってしまうことが多い分、より愛猫に合った療法食を選ぶことができます。
最後に猫ちゃんのタイプによる選び方の例を4つご紹介したいと思います。
ぜひ、参考にしてくださいね。
①グルメな猫ちゃんの場合
フードの好き嫌いが激しいグルメな猫ちゃんの場合は、食欲をそそる独自の香り組成に調整されている、「ユリナリーS/O オルファクトリー」か「ユリナリーS/O オルファクトリーライト」のどちらかがおすすめとなります。
この2つの主な違いはカロリーのため、いっぱい食べたい猫ちゃんの場合は「ライト」の方がより良いと考えられるでしょう。
②カロリーが気になる猫ちゃんの場合
肥満気味でカロリーが気になる猫ちゃんならば、カロリー密度が低く調整されている「ユリナリーS/O ライト」か「ユリナリーS/O オルファクトリーライト」のどちらかを選べばよいでしょう。
より低カロリーなのは「ユリナリーS/O オルファクトリーライト」となるため、猫ちゃんが「オルファクトリー」を好むならばそちらを与える方が、より安心ですね。
③ストレスケアが必要な猫ちゃんの場合
すでに尿石症だけではなく特発性膀胱炎と診断されている、またはデリケートな猫ちゃんの場合は、不安感やストレスに関連した行動の減少が期待できる「ユリナリーS/O+CLT」を与えることをおすすめします。
もちろん、療法食のみに頼るのではなく、猫ちゃんがストレスを感じることが少ないように飼い主さんによって環境などを配慮してあげることも大切な治療となります。
④シニア猫ちゃんの場合
7歳以上のシニア猫ちゃんならば「ユリナリーS/O エイジング7+CLT」が最も安心な療法食と考えることができるでしょう。
仮に特発性膀胱炎と診断されていなくても、不安感やストレスに関連した行動が減ることは猫ちゃんの長生きに役立つため、ぜひこちらを選んであげてくださいね。
ロイヤルカナンユリナリーS/Oの違い|まとめ
普通のフードと比較して、ロイヤルカナンユリナリーS/Oのような「いわゆる療法食」は値段が高い傾向にあるため、安さのみを重視して選んでしまうこともあるかもしれません。
しかしそれでは愛猫の治療にならない可能性が高くなります。
療法食は獣医師の指導の下に治療を目的として与えるフードのため、選ぶ際は必ずかかりつけの獣医師さんと相談してくださいね。