猫がご飯のにおいを嗅いだあとにプイッと顔を背けて去ってしまう。
そんな経験がある飼い主さんも多いと思います。
愛猫が急にご飯を食べないとなれば、「もしかして、具合が悪いのかな」と心配になるでしょう。
ですが、猫の食欲不振の理由はさまざまで、すぐに動物病院に連れて行かなくてはならないものから、まったく心配のいらないものまであります。
猫がなぜご飯を食べなくなるのか、クンクンするのに食べないのはなぜなのか。原因と対処法を紹介します。
【参考記事】
>>【獣医師監修】キャットフードおすすめ12選|安全な猫の餌の選び方。
猫がクンクンするけどご飯を食べないのはなぜ?
猫が急にご飯を食べなくなる原因は病気や選り好みなどさまざまです。
そんな猫にご飯を食べてもらうためには、どうして食べないのかを知らなければいけません。
猫がご飯を食べない一般的な原因と、クンクンするけど食べないときの原因についてそれぞれ紹介します。
猫がご飯を食べない原因はいろいろ
猫がご飯を食べない原因は多岐に渡ります。
おもな原因だけでも以下のようなことが考えられます。
・キャットフードが好みではない
・初めての食べものに警戒している
・ストレスがたまっている
・発情期で食欲がない
・老化で食欲が減衰した
・病気が原因による食欲不振
ご飯を食べない原因が何なのかを特定して、適切に対処しましょう。
クンクンするのにご飯を食べない原因は?
猫がご飯のにおいを嗅ぐのに食べないときは、お腹が空いているけれども「そのご飯は食べたくない」「なんらかの理由で食べられない」のどちらかが考えられます。
具体的には以下のようなことがあげられます。
・キャットフードが好みに合わない
・いつもと違う食べ物に警戒している
・口腔内やその他の病気
・多頭飼いなどで落ち着いて食べられない
この中でも注意が必要なのは、口腔内やその他の病気が潜んでいる場合です。
また、落ち着いて食べられない場合には、その原因を特定して対策を講じる必要があるでしょう。
詳しくは後述しますので、そちらを参考にしてください。
クンクンするけど食べないときは受診したほうがいい?
クンクンするけれどもご飯を食べないというときは、ご飯の選り好みをしているだけの可能性が高いです。
元気があるならば、しばらく様子を見ても良いでしょう。
ただし、頻繁に口を気にする、よだれが増えた、口臭が強くなったというときは歯周病など口腔内の病気が考えられます。
また、胃腸に問題がある場合も「食べたいけれども、食べられない」という状態になることがあります。
もし、食べない以外にいつもと違う様子が見られたら動物病院を受診しましょう。
クンクンするけどご飯を食べないときの対処法
猫がクンクンするのにご飯を食べないときは、食べさせ方を工夫するだけで解決する場合もあります。
愛猫が食べない理由を特定できたら、以下を参考にして適切に対処してあげましょう。
ご飯を置いて様子を見る
元気があって、水を飲む、おやつは食べるといった場合は、ご飯を選り好みしている可能性が高いと考えられます。
選り好みが原因であれば、お腹が空くと食べることも多いので、ご飯を置いてしばらく様子を見ましょう。
30分くらいして覗くとお皿が空になっているというのも猫ではよくあります。
食事環境の改善に努める
食事環境が問題でご飯を食べないときは、原因を特定して対処する必要があります。
もし、以下にあげた項目に思い当たるような場合は、環境が原因かもしれません。
・ほかの動物が近くにいる
・食器が食べづらい
・トイレが近すぎる
・うるさくて落ち着かない
「ほかの動物とは別々の部屋で食べさせる」「形の違う食器に変える」「トイレや騒音の原因を遠ざける」などして、落ち着ける環境でご飯を食べられるように対処をする必要があるでしょう。
これらはあくまでも一例です。状況に応じて環境を整えてあげてください。
人肌に温める
キャットフードを人肌程度に温めるのも効果的です。
猫は味ではなく、においで食べるかどうかを決めています。そのため、温めて香りを強めると、ご飯を食べてくれるかもしれません。
とくに、歳をとって嗅覚の衰えた猫には、おすすめの方法です。
温める場合は、ドライフードよりもウェットフードのほうが扱いやすいでしょう。
ウェットフードなら電子レンジで温める、ぬるま湯を足す、湯煎するなどで温めることができます。
また、ドライフードをお湯でふやかすのもおすすめです。
ただし、ビタミンなど熱に弱い栄養素が壊れてしまわないように、必ず50度未満のぬるま湯でふやかすようにしてください。
愛猫の好物をトッピングする
どうしても食べてくれないときは、愛猫が好きな食べ物をトッピングしてみましょう。
好物に釣られてご飯を食べはじめる可能性があります。
おすすめは、ササミなどのお肉、さつまいもなどの嗜好性の高い野菜、猫用のふりかけです。
「カリカリは食べないけれど、ウェットフードなら食べる」というときは、ドライフードに猫の好きなウェットフードをトッピングするのも良いでしょう。
今までと違うフードを与えてみる
いろいろと試してみたけれど食べてくれないという場合は、キャットフードをほかのものに変えることを検討しましょう。
猫によっては、好みに合わないキャットフードは絶対に食べないという頑固な子もいます。
愛猫の性格や様子を見ながら臨機応変に対応してください。
ただし、食べないからといってすぐに変えると、「食べなければもっと美味しいものが出てくる」と認識するようになります。
その結果、好き嫌いを助長することにもなりかねません。キャットフードを変えるのは、あくまでも最終手段として考えましょう。
ご飯の前に遊ぶ
ご飯の前に猫といっしょに遊ぶのもおすすめです。
猫にとって遊びは狩りです。狩りをしたあとは当然、食事をしますから、遊んだあとにご飯を出すと自然な流れで食べてくれるでしょう。
遊び方のポイントは、狩りをシミュレートすることです。
- 獲物(おもちゃ)を追いかける
- 獲物を捕まえる
- 獲物を食べる
この流れを意識して遊ばせることで、狩猟本能も満たされます。
また、遊びは運動にもなりますし、ストレス軽減にも役立ちます。運動不足やストレスが原因でご飯を食べない場合にも効果的が期待できるでしょう。
ご飯を食べないときに注意したい3つのこと
猫がご飯を食べないときは、おやつの与え方に問題がある、重大な病気が潜んでいる可能性もあります。
ここでは、それぞれの問題について、対応も含めてケース別に紹介します。
ご飯は食べないのにチュールをほしがる
ご飯を食べないのにチュールは食べるという場合は、選り好みをしているだけの可能性が高いでしょう。
チュールは猫の好みに合わせた嗜好性の高いおやつですから、与えすぎに注意しなければいけません。
チュールに限らず、おやつを習慣にしてしまうとご飯を食べなくなるのも当然です。欲しがるままに与えていれば、食べ過ぎになって肥満の原因にもなります。
チュールは食べるけれども、ご飯は食べないという場合は、与える頻度と量を減らすことからはじめましょう。
どうしてもご飯を食べてくれない、という猫にはドライフードにチュールを混ぜて与える方法もあります。
その際は、ドライフードの上に乗せるのではなく、しっかりと混ぜるようにし、徐々に量を減らしていくのがポイントです。
水は飲むけどご飯を食べない
水は飲むのにご飯は食べないというときに考えられるおもな原因は3つあります。
・キャットフードが好みではない
・ストレスによる食欲不振
・病気による食欲不振
選り好みやストレスが原因ならば、食欲を増す工夫をする、ストレスの元を解消するなどで次第に食べるようになるでしょう。
心配なのは、病気が原因の食欲不振です。
水は飲むけれど、ご飯を食べないというときは、例として以下の病気が疑われます。
・糖尿病
・腎臓病(急性、慢性)
・肝炎
・悪性腫瘍(がん)
・子宮蓄膿症
・口腔内の病気(口内炎・歯周病など)
もし、大量に水を飲む、おしっこの量が増えた、体重が減った、寝てばかりいるなどの様子が見られたら、早めに動物病院を受診しましょう。
猫は何日ならご飯を食べなくても大丈夫なのか
生後半年以内の子猫なら12時間、健康な成猫でも24時間食べない状態がつづくと危険です。
何日ではなく、時間で判断するようにしてください。
猫は48時間ご飯を食べないと肝リピドーシス(脂肪肝)のリスクがあると言われています。肝リピドーシスは命にかかわることもある病気です。
とくに、肥満の猫は肝リピドーシスを発症しやすい傾向があるため、注意が必要だと言われています。
健康な成猫でも24時間ご飯をほとんど口にしないときは動物病院を受診しましょう。
また、子猫や老猫、持病のある猫はご飯を食べなくなったらなるべく早く受診するようにしてください。
猫がクンクンするけど食べない【まとめ】
元気があって、クンクンするのにご飯を食べないときに考えられるおもな理由は「選り好み」です。
ただし、病気で食べたいのに食べられないといった場合もありますので、愛猫の様子から総合的に判断する必要があるでしょう。もし、判断が難しいときは獣医師に相談することをおすすめします。
また、ここで紹介した対処法を試しても食べないときには、なんらかの病気が隠れている可能性もありますので、できるだけ早めに動物病院を受診しましょう。