2025.12.26
猫の寄生虫は人間にうつる?うつったときの症状・治療法は?

結論からいうと、猫の寄生虫は人間にうつるものもあります。
寄生虫とは体に寄生して生きるものの総称で、寄生されるとさまざま症状が現れることがあります。
猫も症状があると辛いので、早めに見つけてあげましょう。
猫から人間にうつる代表的な寄生虫と症状

猫と人間は違う生き物なので、風邪やインフルエンザなどはうつりません。
しかし寄生虫はうつるものもあるので、その中から代表的な種類を紹介していきます。
猫回虫
主に猫の小腸に住み着く寄生虫で、人間・ネズミ・鳥・昆虫などにもうつります。
猫に寄生すると小腸で産卵するので、猫の便に卵が混じることに。
成虫は白くて細長く5~10cmほどありますが、卵は小さすぎて目では見えません。
便そのものや猫のトイレなどに卵が付着し、気づかないまま人間の口に入って感染するというのがよくある流れです。
猫が感染したときの症状
猫が感染してもほとんどの場合で無症状ですが、猫回虫が大量にいたり免疫が低下したりしていると症状がでやすいです。
よくある症状は、下痢・嘔吐・食欲不振・お腹の張りなどで、重症化すると命に関わることがあります。
症状がないと気づきにくいですが、便から糸状の成虫が出てくることで発覚するケースもあります。
人間が感染したときの症状
ほとんどの場合で無症状ですが、量が多いときや免疫が下がっていると症状が出やすいです。
症状は、成虫が入り込む場所によっても異なり、腹痛・吐き気・発熱・嘔吐・下痢・咳など、さまざま。
目に入ると、視力低下や失明の可能性もあります。
トキソプラズマ
主に猫の小腸に寄生しますが、人間も含めてほとんどの哺乳類や鳥類にうつります。
豚・鳥・牛にも感染し、小さすぎて見えないため、加熱できていない肉を食べることで人間が感染することがあります。
猫からうつる場合は、猫の便やトイレに卵などが入っており、気づかずに口に入ってうつるケースが多いです。
猫が感染したときの症状
ほとんどの場合で無症状で、症状が出たとしても軽度で済むことが多いです。
よくあるのが、一時的な発熱、軽い食欲不振や下痢などで、時間が経てば自然に治りやすいです。
ただし、免疫が低下していると、嘔吐や呼吸困難、けいれんなどが現れることもあります。
人間が感染したときの症状
ほとんどの場合で無症状です。症状が出ても、発熱・リンパの腫れ・倦怠感・頭痛などで、自然に治ることが多いです。
ただし、闘病中などで免疫不全の状態であれば、合併症を引き起こすことがあります。
妊婦であれば胎児に影響が出ることも。
また、脳の神経に影響を受けることで、性格に変化があると指摘されています。
まだ不明な点が多いですが、攻撃的になったり注意力が落ちたり、逆に親しみやすくなったりなどの報告があります。
トキソプラズマの慢性感染が、ヒトの行動や性格に影響を及ぼすことも報告されています。
―トキソプラズマ感染による宿主動物の行動変化のしくみを解明
ノミやマダニ
体にくっついて血を吸う寄生虫です。
どちらも2~3㎜ほどで、マダニは血を吸うと10倍ほどの大きさになり、ノミは飛び跳ねることから目に付きやすいです。
草むらや庭先などの屋外におり、外に出た猫が感染して人間にうつすことも。
知らないうちに人間の衣類に付着し、家に持ち込むことで猫も人間も感染することもあります。
猫が感染したときの症状
無症状のこともあれば、痒みを感じたり皮膚が赤くなったりすることもあります。
痒みがあると、何度も体を舐めたり掻いたりし、脱毛やかさぶたが目立ちやすいです。
ノミの場合は、首や背中、尻尾の付けなど、後ろ足が届きにくい箇所が狙われやすいのが特徴。
黒い粒状のノミの糞が被毛に付いていることもあります。
マダニの場合は、顔回りや足回りなど、被毛が少ない箇所が狙われやすいです。
マダニは感染症を引き起こすことがあり、発症すると、発熱・食欲不振・嘔吐・下痢などが現れやすいです。
人間が感染したときの症状
無症状のこともあれば、痒みを感じたり、赤いブツブツや腫れなどの皮膚炎が目立ったりすることもあります。
ノミは、足首やすねなどの足回りを噛みやすいです。マダニは足のほか、太ももやお腹周りなどの柔らかい部分を好みやすいのが特徴です。
猫が感染したときと同様に、マダニに噛まれると人間も感染症を発症することも。
よくある症状は、発熱・頭痛・嘔吐・下痢などで、重症化すると命に関わることがあります。
寄生虫に感染したときの治療方法

猫の寄生虫は人間にうつるので、必要に応じて猫も飼い主さんも治療しましょう。
まれに重症化することもありますから、異常があればまずは診察を受けるようにしてください。
猫が感染したときの治療方法
まずは問診や触診、検便などを行って寄生虫を特定します。
寄生虫の種類が判明したら、飲み薬や注射、背中に液体を垂らすスポットタイプの薬などで治療していきます。
寄生虫の治療は、基本的には1回では終わりません。
猫回虫やトキソプラズマは、治療しながら経過を観察するため、数週間から数か月かかります。
ノミやマダニは、駆除薬1回の治療で終わることもありますが、複数回の投与が必要なことも。
また、脱水があるときは点滴、細菌感染があるときは抗生剤なども使って治療していきます。
人間が感染したときの治療方法
血液検査や便検査、症状などから寄生虫を特定し、種類に応じて治療します。
一般的には、体の中に寄生虫がいるときは飲み薬、肌に炎症が起きているときは塗り薬、症状によっては抗生物質などを使用します。
飲み薬は1回で終わることもあれば、数日間飲むことも。
その後、寄生虫がいなくなったことを確認するため、便検査などが必要なこともあります。
寄生虫に感染しないための対策と予防

寄生虫を完全に防ぐのは難しいですが、対策すれば感染しにくくなります。
日ごろから注意して猫の感染を予防し、猫の寄生虫が人間にうつる前に食い止めましょう。
できるだけ愛猫を外に出さない
屋外は寄生虫に感染するリスクが高いため、なるべく外に出さないでおきましょう。
ノミやマダニは草むらや茂みなどに潜んでおり、回虫やトキソプラズマは感染した動物の便や汚染された土の中などにいます。
種類によって居場所は異なりますが、いずれにしても猫を外に出す頻度が多いと、それだけリスクが高くなるので注意。
ベランダも含め、なるべく外に出さないようにしてください。
室内を清潔に保つ
室内を清潔に保てば、寄生虫が家の中で繁殖しにくくなります。
ノミやマダニは暗くて暖かい場所を好み、ノミの幼虫はホコリやフケを餌にしています。
そのため、寝床やカーペット、ソファの隙間などに潜みやすいので、なるべく小まめに掃除しましょう。
また、猫が排泄したときはできるだけ早く片付けることが大事。
猫の便の中にある猫回虫やトキソプラズマの卵は、時間が経ってから感染力をもつようになります。排泄してから24時間以内に除去することで感染リスクが減るので、早めに片付けましょう。
ほかにも、食器を毎日洗う、1か月に1回は猫砂を交換してトイレ本体も洗うなどし、猫の寄生虫が人間にうつるリスクを減らしましょう。
過度なスキンシップを避ける
キスや口移しなど、過度なスキンシップは止めておきましょう。
猫が猫回虫やトキソプラズマに感染すると、便から卵が排出されます。
猫は全身を毛づくろいするため、顔回りに卵が付いており、キスなどで人間にうつる可能性も否定できません。
あくまで稀な例ですが、過度なスキンシップや食器の共有などは控え、触れ合った後や食事前は手洗いをしましょう。
定期的に駆虫薬を使う
駆虫薬は寄生虫の駆除だけではなく予防の効果もあるので、定期的に行いましょう。
駆虫薬とは、ノミやマダニ、回虫などを駆除する薬。
スポットタイプの液体を垂らす薬・錠剤・液剤などがあり、効果や持続時間はそれぞれ異なります。
ノミやマダニ、回虫などをまとめて駆除・予防できる薬もあるので、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
まとめ
猫の寄生虫の中には人間にうつるものもあり、家族全員が感染することもあります。
症状は、寄生虫の種類や個体差・個人差によってさまざま。
愛猫が感染しているのであればすぐに治療をし、飼い主さんも違和感があれば診察を受けましょう。

監修者
獣医師 小川篤史
明石・西明石の動物病院「こすもす動物診療所」院長
(宮崎大学農学部獣医学科卒業・明石市獣医師会所属)
兵庫県加古川市の動物病院に勤務後、兵庫県明石市に「こすもす動物診療所」を開院。
犬や猫、小動物を中心に診療・予防医療を行う。
【参考文献】・「ペットと寄生虫症」