2025.04.02
老犬は歯周病を治療できない?家で治すことはできる?
歯周病とは、歯肉や歯の組織が炎症を起こす病気です。
2歳の犬のうち8割ほどがかかっているとされるほど身近なものですが、老犬は高齢のため歯周病を治療できないことがあります。
犬の歯周病(PD:Periodontal diseases)は一般的な疾病の一つであり、2歳時で80%の有病率と言われていたが、最近の報告では全患者の90%で発生している可能性が示唆されている
―日本獣医麻酔外科誌
治し方や薬、ケア用品などを紹介していくので、愛犬の健康を守るためにどんな方法があるのか見ていきましょう。
老犬は歯周病を治療できないといわれる理由2選
犬に歯周病の治療をするときは基本的に全身麻酔を行います。
老犬は高齢のため、以下のような理由から治療できないことがあります。
麻酔前の検査をクリアできない
歯周病の治療前に、麻酔を使っても問題ないかどうかの検査を行いますが、老犬は検査に引っかかりやすいです。
麻酔を使うと、心臓・腎臓・肝臓などに負担がかかる可能性があります。代謝や臓器に異常がある場合、麻酔薬を体から排泄できないこともあるため、麻酔前の検査が必要です。
老犬の場合、体力や免疫が低下しやすく、体の機能が衰えやすいことなどから、検査をクリアできないことも。
結果として麻酔が使えないため、歯周病の治療ができないケースがあります。
軽度の歯周病でも全身麻酔を使う
歯周病にも段階がありますが、たとえ軽度であっても全身麻酔を使うことが多いです。
歯石の除去、歯周ポケットの洗浄、研磨、歯根の洗浄化処置、抜歯など、歯周病のレベルによって治療方法はさまざまで、基本的に人間と同じような治療を行います。
犬は、口を開けたままキープしたり、動かないように言い聞かせたりすることができません。
暴れると口内を怪我することもあるため、人間のように無麻酔というわけにはいかないのが現状。
無麻酔で治療できることもありますが、安全やストレスなどを考え、麻酔を使うことが推奨されています。
全身麻酔の重篤な合併症の発生頻度は極めて稀なので、全身麻酔下で治療を行うメリットの方が明らかに大きいです
―無麻酔下での歯石除去の問題点
犬が歯周病になったときの治療方法
老犬でも健康状態が良ければ全身麻酔できるため、歯周病の治療ができます。ここでは、犬が歯周病になったときの治し方について紹介していきます。
軽度の歯周病の治し方
軽度の歯周病の場合、歯石の除去や歯周ポケットの洗浄などの治療を行うことが多いです。
主な治療法は、犬の歯についている歯石の除去。
スケーラーと呼ばれる歯石を除去する器具や、手術用具を使って、物理的に取り除いていきます。
程度にもよりますが、歯の黄ばみや歯茎の腫れ、歯肉炎を起こしているなどであれば、軽度だと診断されることが多いです。
重度の歯周病の治し方
重度の歯周病の場合、抜歯や歯肉縫合、再生療法などの治療を行うことが多いです。
切開して炎症を取り除いて縫う「歯肉縫合」、組織を回復させる「再生療法」を行うケースもありますが、主な治療方法は抜歯。
重度であれば、口内の出血、ひどい口臭、鼻水やくしゃみが出るなどの症状が起こりやすいです。
老犬の場合、免疫力が低いことから重度になりやすいです。
歯が抜けた、何度もくしゃみをする、膿がまじった鼻水がでるなどの症状がでて、初めて気付くこともあります。
歯を支える骨が溶けたり組織が破壊されたりすることが原因のため、そのまま歯を残しておくとさらに進行する可能性が高いです。
老犬であっても健康状態が良ければ治療できるため、抜歯などの手術を行います。
犬の歯周病を治療するときにかかる費用
犬の歯周病の費用は、30,000~100,000円ほどかかるのが一般的です。
具体的には、歯石除去やクリーニングなどの軽度の治療であれば、30,000~40,000円ほど。
数本を抜歯するのであれば50,000~80,000円ほど、10本以上を抜歯するときは100,000円ほどかかることが多いです。
ただし、歯周病の進行度や処置する本数、犬の体重や健康状態、動物病院によっても治療費用が異なります。
保険適用になるかどうかは契約内容によります。
適用されることもあるため、ペット保険に加入している場合は、保管会社に問い合わせると安心です。
麻酔を使った治療ができないときの対処法
麻酔が使えず、老犬の歯周病を治療できないときは、飼い主さんが自宅でケアしてあげましょう。
犬の歯周病を家で治すことはできませんが、放置すると悪化するため、薬やケア用品を使うのがおすすめです。
薬を使用して様子を観察する
ビルデンタマイシンなどの抗生物質や消炎鎮痛剤を使って経過をみる方法です。
歯周病の原因となる細菌の数を減らしたり、一時的に炎症を抑えたりする効果があります。
薬は、老犬で歯周病が治療できないときや、手術後にも処方されることがあります。
ただし、抗生物質などの薬で歯周病を完治させることはできません。
完治させるには歯石処理や抜歯が必要なため、あくまで一時的な処置だと考えましょう。
また、薬を手に入れるときは動物病院で処方してもらうようにしてください。
副作用が起こることがありますし、投与期間や量を間違えると悪影響を及ぼすことがあるため、通販等で購入することはせず、獣医師に相談しましょう。
自宅で歯磨きする
犬の歯周病をケアするときは、歯垢のうちにしっかり歯磨きすることが大事です。
歯垢が溜まる→歯石になる→炎症を起こす→歯周病になる
という流れなので、歯垢のうちに落としましょう。
歯垢は、食べかすや唾液、細菌などが混ざったもので、細菌の住処になりやすいです。
歯石になると簡単に取ることができませんが、歯垢であれば歯磨きで落とすことができます。
犬の場合、歯垢から歯石になるまでが早いです。
人間であれば25日ほどですが、犬の場合は3~5日ほどで歯石になるとされます。
毎日歯磨きをしたほうが良いですが、歯石にならないように最低でも3日に1回は磨きましょう。
老犬にもおすすめ。歯周病の予防や抑制に期待できるケア用品5選
歯周病をケアするときは歯磨きが基本です。
無理に磨くとストレスを与えやすいため、嫌がるのであれば、さまざまなケア用品も取り入れながらキレイにしてあげましょう。
歯ブラシ
犬の歯磨きをするときは、ペット用の歯ブラシがおすすめです。
360度どの方向からでも磨けるもの、ミニサイズ、指にはめて使うものなど、種類も豊富。
ヘッドが大きいと口に入れにくいですし、歯茎などにあたって不快感を与えやすいので、愛犬の口の大きさに合わせましょう。
歯磨きシート
飼い主さんの指に巻き付けて、そのまま犬の口の中に入れて使います。
たくさんの種類があり、歯の健康をサポートする成分が含まれていることが多いです。
指で磨く感覚で使えるので、力加減がしやすく、気になる部分を集中的に磨けるなど、使い勝手が良いです。
歯磨きおもちゃ
歯磨きおもちゃは、噛むことで、歯についた歯垢を落とす効果に期待ができます。
歯が食い込むようなロープのおもちゃ、凹凸があって歯垢が取れやすいおもちゃなど、種類が豊富。
ゴム・ナイロン・木製など、素材もさまざまです。
遊びながら使えるので、コミュニケーションやストレス発散にもなります。
サプリメント
そのまま飲むタイプや食事に混ぜるタイプなどがあり、口内を清潔に保つ効果に期待ができます。
細菌の増殖を抑える働きがある「ラクトフェリン」や「乳酸菌」、殺菌効果がある「クリスタパス菌KT-11」など、それぞれ効果的な成分が配合されています。
飲む液体歯みがき
飲み水に混ぜるタイプの歯みがき液です。
歯垢を付きにくくさせる成分や、口内を清潔に保ちやすくする成分などを配合しています。
いつも通りに器に水を入れ、規定量を混ぜるだけなので簡単。
無味無臭なので犬も飲みやすく、無添加・天然由来成分を配合など、健康に配慮した商品もあります。
老犬は歯周病を治療できない?家で治すことはできる?【まとめ】
犬の歯周病を治すには、歯石除去や抜歯などを行う必要があります。
老犬の歯周病が治療できないときは、動物病院から処方された薬を使ったり、ケア用品を使ったりして様子を見ましょう。
何もしなければ進行していくため、愛犬の歯や健康を守るためにも、飼い主さんがケアしてあげてください。
監修者
獣医師 小川篤史
西明石こすもす動物診療所院長
(宮崎大学農学部獣医学科卒業・明石市獣医師会所属)
最初は別の道を選択するも、獣医になる夢を捨てきれず獣医学科を受験。
兵庫県加古川市の動物病院に勤務後、兵庫県明石市に「こすもす動物診療所」を開院。
犬や猫、小動物を中心に診療・予防医療を行う。