2025.02.26
犬の混合ワクチンは何種がいい?うちの子に向いているのはどれ?
混合ワクチンとは、ウイルスや感染症などを予防するものです。
発症を抑えたり、かかっても症状を軽くしたりする効果があります。
しかし、犬の混合ワクチンは種類が多いため、何種がいいのか悩んでしまうことも。
愛犬の健康を守るためにも、どれが向いているのかチェックしておきましょう。
何種がいい?愛犬に合った混合ワクチンを見極める
犬の混合ワクチンを製造しているのは製薬会社です。
製薬会社ごとに種類があるため、まずは選び方や違いを知っておきましょう。
混合ワクチンの選び方
5種・7種・8種・10種などがあり、それぞれ含まれる抗原が違うため、愛犬に向いたものを選んであげてください。
5種よりも8種、8種よりも10種の方が多くの感染症などを予防できますが、多ければ多いほど良いというわけではありません。
たとえば人間の場合、インフルエンザは誰でもかかる可能性があります。
しかし、おたふく風邪は一度かかるとほとんど発症しませんし、日本で発症例がない感染症の予防をしてもあまり意味がありません。
それと同じで、愛犬のワクチンを選ぶときは、生活スタイルや状態などを考慮して何種がいいのか考えましょう。
混合ワクチンの種類とそれぞれの違い
国内では10種のワクチンがありますが、どの種類を扱っているのかは動物病院によって異なります。
取り扱っていることが多い混合ワクチンと、予防効果は以下のとおりです。
●2種:犬ジステンパー、犬パルボウイルス
●5種:犬ジステンパー、犬パルボウイルス、犬伝染性肝炎(犬アデノウイルス2型)、
犬アデノウイルス2型、犬パラインフルエンザウイルス
●6種:5種+犬コロナウイルス
●7種:5種+レプトスピラ2種
●8種:5種+犬コロナウイルス+レプトスピラ2種
●10種:5種+犬コロナウイルス+レプトスピラ4種
上記を見ても分かるように、5種は混合ワクチンのベースのような立ち位置です。
6種はコロナウイルスも含まれており、7種以降はレプトスピラが含まれています。
レプトスピラは、淡水や土壌に存在する細菌で、いくつかのタイプがあります。
7種と8種ではその内の2つ、10種では4つのタイプをカバーしています。
向いている混合ワクチンの種類は、生活スタイルによって異なる
犬の混合ワクチンを選ぶときは、生活スタイルなどを考えて何種がいいのか決めましょう。
具体的な例を紹介するので、愛犬に照らし合わせてみてください。
感染リスクが少ない地域で外に出る機会があまりない犬
室内飼いで、外に出る機会があまりない犬は、5種か6種が向いています。
5種と6種の違いは、コロナウイルスが含まれているかどうかなので、コロナウイルスも予防したいのであれば6種を選びましょう。
ウイルスや感染症の主な感染源は、他の動物や自然環境です。
都市部に住んでいれば野生動物と接触する機会はほとんどありませんし、周りに自然環境がないのであれば、ウイルスなどに感染する機会が少ないといえます。
少し散歩する程度、自然の中を歩き回ることがないなど、感染リスクが少ない犬には5種か6種がおすすめです。
自然や野生動物と触れ合う機会がある犬
自然や野生動物との接触がある場合は、7種か8種が向いています。
7種と8種の混合ワクチンの特徴は、レプトスピラが含まれていることです。
レプトスピラは、水辺や土、ネズミなどの野生動物から感染する細菌。
レプトスピラは, ネズミなどの野生哺乳動物の腎臓に保菌され, 尿とともに排出される。
ヒトやイヌなどは, レプトスピラを含む尿との接触, あるいは尿に汚染された水や土壌との接触により偶発的に感染し発症する。
—イヌのレプトスピラ感染
地域差があり、沖縄や西日本での発生例が多く、関東でも少数ながら発生しています。
発生が多い地域に住んでいる、水辺や農村部に住んでいる、アウトドアや自然でのレジャーに連れて行くなど、自然と触れ合う機会が多いときは予防しましょう。
7種と8種の違いは、コロナウイルスを含んでいるかどうかなので、どちらを選んでも構いません。
また、7種と8種は、カニコーラ・イクテロヘモラジーの2つ。
10種はカニコーラ・イクテロヘモラジー・グリッポチフォーサ・ポモナの4つのレプトスピラを含んでいます。
グリッポチフォーサとポモナは国内での発生報告はほとんどありませんが、それでも心配であれば10種を選びましょう。
ペットホテルやドッグランなどに行く機会がある犬
ペットホテルやドッグラン、トリミングサロンなどに連れて行くのであれば、5種以上の混合ワクチンを打ちましょう。
ドッグランなどの犬用のサービスを使う場合、他の飼い犬への感染を防ぐため、ワクチン証明書が必要になることが多いです。
その際、5種以上のワクチン証明書を求められることが多く、提出しない場合は利用できません。
そのうえで、あまり出歩かないのであれば5種か6種、自然環境に行くのであれば7種か8種がおすすめです。
体が弱っていて外に出ないシニア犬
老化などで体が弱っているシニア犬の場合は、2種や5種など数の少ないワクチンを打つことがあります。
高齢になると免疫が下がるため、感染するリスクが高くなるとされます。
感染すると重症化しやすいこともあり、基本的にはシニア犬も混合ワクチンを打つことが推奨されています。
しかし、体が弱っている場合は、ワクチン自体が負担になってしまうことも。
2種や5種は、一般的に流通しているワクチンの中では含まれている抗原の数が少ないため、シニア犬に向いているとされます。
ただし、年齢や状態によっては打たないほうがいいこともあるため、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
混合ワクチンを選ぶときに知っておいた方がいいことと注意点
愛犬に混合ワクチンをするときは、何種がいいのかだけではなく、以下のようなことも頭に入れたうえで選びましょう。
ワクチンの種類は途中で変更できる
ワクチンは、ずっと同じ種類を打たないといけないわけではありません。
去年は6種を打ったとしても、今年から7種や8種などに変更することができます。
たとえば「子犬のうちはあまり外出しないが、大きくなったらアウトドアに連れて行きたい」という場合は、子犬のときは5種、成犬になってから8種を打ってもOKです。
ただし、場合によっては変更した初年度のみ、2回接種が必要になることもあります。
途中で変更する可能性があるときは、前もって獣医師に聞いておきましょう。
副作用がでることがある
体に抗原を入れるため、副作用がでることがあります。
免疫などが反応することで、顔の腫れやむくみ・患部の腫れや痛み・発疹・発熱・呼吸困難・嘔吐・下痢・食欲低下などの症状がでる可能性があります。
接種してすぐに症状がでるアナフィラキシー、数日以内に現れるアレルギー症状など、副作用もさまざま。
抗原が多いとそのぶん副作用が出やすいと考えられており、10種などの抗原が多いワクチンは副作用が起こりやすいともいえます。
ただし、どの犬でも副作用がでるわけではありませんし、発症率はごく僅かとされます。
必ず毎年必要なわけではない
ワクチンは年に1回のペースで行うことが多いですが、必ず毎年必要というわけではありません。
犬の混合ワクチンは、初年度に3回ほど打ち、その後は年に1回打つというのが一般的です。
ワクチンを打っても効果がずっと持続するわけではないため、その後も年に1回ペースで接種する必要があります。
しかし、免疫のつき方は犬によって異なります。1年も効果が持続しないこともあれば、3年以上も抗体が残っている場合も。
抗体が残っているのであれば、1年に1回のペースでワクチンをする必要はありません。
抗体があるかどうかは動物病院で抗体検査を受ければ分かります。
毎年必要というのはあくまで一般論なので、愛犬に合ったペースで接種しましょう。
犬の混合ワクチンは何種がいい?【まとめ】
犬の混合ワクチンをするときに何種がいいのか迷ったときは、まずは愛犬の生活スタイルを考えましょう。
家からほとんど出ないのであれば5種や6種、自然と触れ合うなら7種や8種を選ぶのが基本です。
健康状態やどこまで予防したいのかも考えつつ、愛犬に合うワクチンを選んであげてください。
こすもす動物診療所では、犬用の混合ワクチンとして5種・7種(猫用には3種・5種)をご用意しております。
お近くにお住まいの方はご相談くださいね。